長岡駅の壮大な壁画「長岡今昔」ルイ・フランセンのパブリックアート
長岡といえば思い浮かべるのが「長岡花火」ですが長岡の魅力は、夜空を彩る花火だけではありません。
花火の街を歩いてみると、歴史や文化、地域の記憶を伝えるパブリックアートが点在しています。
その代表的な作品のひとつが長岡駅前にある陶板レリーフ「長岡今昔」(ながおかこんじゃく)です。
「長岡今昔」は、上越新幹線・長岡駅の完成を記念して1982(昭和57)年に制作された大規模な壁画で、長岡の過去と現在をテーマにした大規模な陶板レリーフです。
あー!アレね!!
と、壁画の存在を知っているけど、どんな作品なのがよくわかんない!?
この記事では、長岡駅の代表的なパブリックアート「長岡今昔」の知っておきたい魅力と見どころを紹介します。
「長岡今昔」のデザイン
「長岡今昔」は長岡市のシンボルである三尺玉や花火、火焔土器、長岡藩士、米百俵などを色彩豊かな陶板で抽象化しています。
「長岡今昔」は、左から長岡の未来・現在・過去を表した3つの場面で構成されている作品でベルギー出身の芸術家ルイ・フランセンが原画・造形を手がけました。

長岡の未来・現在・過去の3つの場面をそれぞれ解説します。
未来の長岡
未来の長岡は、長岡花火を代表する名物花火である三尺玉の断面に色鮮やかな花火玉が仕込まれています。
当時の新聞記事によると赤い折線は長生橋⁉️
そう言われると長生橋のトラス越しに正三尺玉が打ち上げられてるように見えてきます。
左側が日本一の花火とうたわれる三尺玉をスパッと割った断面に、信濃川に架かる長生橋を折れ線化して組み合わせている
引用:新潟日報

撮影:長岡花火ドットコム
現在の長岡
長岡の地域資源である火焔土器をメインにして、三尺玉に玉込めする「花火師たち」が描かれています。
─── とあるけど、アートすぎて読み解けません…。ただ躍動感はしっかり伝わってきます。
縄文中期の馬高遺跡から出土した火炎のような壮麗な装飾を持つ「火焔土器」、三尺玉に玉込めする「花火師たち」があしらい発展にかける長岡の躍動感を出している。
引用:新潟日報

撮影:長岡花火ドットコム
過去の長岡
過去の長岡を表す陶板レリーフには、長岡藩士と藩旗「五間梯子」、長岡市民が、受け継いできた「米百俵」の精神が描かれています。
長岡藩士と藩旗「五間梯子」、さらに教育への情熱を注ぐ「米百俵」をアレンジしている。
引用:新潟日報

撮影:長岡花火ドットコム
長岡藩旗「五間梯子」と「米百俵」の精神
「五間梯子(ごけんばしご)」は、長岡藩の藩旗に使われた意匠です。牧野家と領民との信頼関係に由来し、人を大切にする心を表していると伝えられています。(出典:長岡市政だより 2008年11月号)
現在の長岡駅の駅舎も、この「五間梯子」をもとにデザインされています。
「米百俵」の精神とは、目先の利益よりも未来への投資を重んじ、人材育成によってまちを立て直そうとする長岡の精神です。
どちらも、長岡という街と人が大切にしてきた「人を思う心」や「未来を信じて人を育てる心」を表すものです。
「長岡今昔」には、そうした長岡の歴史や精神性が抽象的な造形として取り入れられています。
「長岡今昔」は今どこにある?
長岡駅の大手口を飾る壁面
壁面は、長岡駅の大手口にあります。
普段通り過ぎている駅前の景色の中に、長岡の歴史と文化を伝える大きな作品が飾られています。
当初は、縦3.8メートル、横25メートルにおよぶ壮大な陶板レリーフでしたが、1997年に現在の場所へ移設された際、作品は2つに分割されました。
分割された「未来」は一番右手に、

撮影:長岡花火ドットコム
「現在」「過去」は長岡駅正面の左手にあります。

撮影:長岡花火ドットコム
長岡駅の1階コンコースにあった「長岡今昔」
「長岡今昔」は上越新幹線・長岡駅の完成を記念して制作された作品で当時は、長岡駅1階コンコースの壁面に設置されていました。
単なる駅の装飾ではなく、新しい時代を迎える長岡の姿と、受け継がれてきた歴史や文化を伝えるパブリックアートとして長岡の玄関口に飾られました。
完成した「長岡今昔」は、縦3.8メートル、横25メートルにおよぶ壮大な陶板レリーフでした。

提供:JPTCA日本交通文化協会
この写真は、一枚には収まりきらないため合成してあります。
当時のパンフレットが伝える「長岡今昔」
「長岡今昔」を伝える資料として日本交通文化協会が制作した当時のパンフレットがあります。
パンフレットは1982年4月に完成した上越新幹線・長岡駅完成記念陶板レリーフを紹介する貴重な資料で、表紙にはレリーフ全体の図版とともに、原画・造形を手がけたルイ・フランセンをはじめ、企画・制作に関わった団体名、題字を揮毫した西村昭三の名前が記されています。
パンフレットの中面には、作品に込められた考え方や制作中の様子、ルイ・フランセンの紹介も掲載されており、「長岡今昔」が単なる駅の装飾ではなく、上越新幹線開業による長岡の文化的発展を象徴するパブリックアートとして紹介されています。

提供:JPTCA日本交通文化協会「長岡今昔」パンフレット
当時の告知チラシに見る「長岡今昔」
長岡市民にお披露目する告知チラシからも、「長岡今昔」が単なる抽象壁画ではなく、長岡を象徴する歴史・文化・精神を表現した作品として紹介されていたことがわかります。
チラシには、作品が三尺玉・花火・火焔土器・米百俵など、長岡にゆかりのある題材を色彩豊かに抽象化したものであること、そして、たて3.8メートル、よこ25メートルにおよぶ大規模な陶板レリーフであることが記されています。
「長岡今昔」が単なる抽象壁画ではなく、長岡を象徴する歴史・文化・精神を抽象的に表現した作品だと説明してあります。

提供:JPTCA日本交通文化協会
ベルギー人の芸術家ルイ・フランセン
「長岡今昔」の原画・造形を手がけたルイ・フランセンは、ベルギー出身の芸術家です。ステンドグラスや油絵の分野で知られ、1957年(昭和32年)に来日して以降、日本各地で数多くの壁画やパブリックアートを制作しました。
フランセンの作品は、長岡だけでなく全国各地の学校、公共施設、駅、ホールなど、人々が日常的に集う場所に残されています。陶板を用いた立体的な造形や、焼き物ならではの偶然に生まれる色合いを活かした表現が特徴で、暮らしの中に芸術を息づかせる作品を数多く手がけました。
「長岡今昔」は、長岡を象徴する歴史・文化・精神を抽象的に表現したパブリックアートです。
ベルギー出身のフランセンが、長岡に受け継がれてきた思いや記憶を深く受け止め、ひとつの作品として形にしてくれたこと。そして、その作品が全国に作品を残した芸術家によって手がけられたものであることに、「長岡今昔」の大きな価値を感じます。
日本交通文化協会
ルイ・フランセン・プロフィール
「長岡今昔」の諸元・関係者
| 原画・造形 | ルイ・フランセン |
| 企画 | 日本国有鉄道信濃川工事局 |
| 企画協力・製作 | 財団法人 日本交通文化協会 |
| 製作協力 | 現代壁画研究所 |
| 題字揮毫 | 西村昭三(前・信濃川工事局局長) |
| 完成日 | 1982(昭和57)年4月17日 |
| 作品サイズ | 縦 3.8m・横 25m(オリジナル) |
| 陶板 | 信楽焼(滋賀県) |
| 寄贈 | 日本交通文化協会(公式サイト) |
資料提供・ご協力
本記事の作成にあたり、公益財団法人 日本交通文化協会様より、パンフレット、新聞記事、チラシ、制作中の写真など、当時を伝える貴重な資料をご提供いただきました。
1982年に制作された「長岡今昔」についての問い合わせに快く丁寧にご対応いただきました。ご協力ありがとうございました。
日本交通文化協会は、駅や空港、学校、病院、行政施設、企業、劇場など、日常のパブリックスペースにステンドグラス、陶板レリーフ、彫刻などのパブリックアートを設置し、都市空間を彩りながら文化の発展に寄与している公益財団法人です。
日本交通文化協会の公式サイト・SNS
- 公式サイト(https://jptca.org/)
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- インスタグラム(jptca)
長岡にあるパブリックアート
長岡には「長岡今昔」のほかにも、街並みを彩るパブリックアートが数多くあります。
パブリックアートの魅力は、美術館の中ではなく、日常の風景の中に自然と存在していることです。
わざわざ「観に行く」ものではなく、通勤や通学、散歩の途中でふと目に入る。そんな身近さこそが、パブリックアートの魅力であり、おもしろさです。
これまで気に留めていなかった駅前のモニュメントや街角のオブジェも、長岡の歴史や文化、まちの個性を表現した作品かもしれません。
ふと目に入った作品を見て、「なんかメロい」「ちょっと気になる」と感じたら、それは長岡の歴史に触れる入口かもしれません。
気になったらそこにあるパブリックアートの成り立ちや背景にも少し目を向けると見慣れた景色が、いつもと少し違って見えてくるはずです。

