成願寺温泉養寿館の歴史 長岡一の観光遊園地|長岡デジタルアーカイブ

新潟・長岡のアーカイブ
記事内に広告が含まれています

成願寺温泉養寿館の歴史 長岡一の観光遊園地

成願寺温泉養寿館ようじゅかんは、かつて長岡に存在していた温泉旅館。

成願寺温泉は悠久山公園から奥1軒の山麓にあり、その昔も北越新報で県下新八景を募集した際その一つに数えられた山紫水明の境。

温泉旅館の養寿館と敷地内に造成された遊園地は、大人は避暑、子供たちには夢の遊び場で長岡一の観光遊園地といわれていました。

温泉と小動物園、遊園地は市民の憩いの場として親しまれた避暑と和樂の遊園境でした。

2004年10月に発生した中越地震で養寿館が大きな被害を受けたことで廃業しました。

出典:長岡市庶務課統計係 編『長岡市勢要覧』

廃業から20年が経ち、成願寺温泉養寿館の薄れてくる記憶を残すために長岡一の観光遊園地 成願寺温泉養寿館の歴史アーカイブです。

表記については、一部「原文表記」のままにしています。

長岡一の観光遊園地 成願寺温泉

成願寺温泉の歴史のはじまりは明治4年。

代々、長岡藩主の牧野家に仕えていた武士である高野家6代目高野斧左ェ門によって湯治場高野館として開業しました。

昭和2年に成願寺温泉がアップデートされて、養寿館の建設と小動物園、遊園地を造り避暑と娯楽を市民に親しまれる遊園境になりました。

養寿館は大小20餘室、浴場は完備し、別館もあり名物鯉料理は通人の賞讃する所である。

出典:長岡市庶務課統計係 編『長岡市勢要覧』

 

成願寺遊園地には、児童遊園場として水車応用活動人形、木馬館、スベリ台、魚すくい、舟遊び、お猿の家等があり、其他室内遊戯場も完備していた。

出典:『『長岡』新潟日報事業社

又長岡、悠久山、森立峠、柳市を結ぶハイキングコースに当たり、四時折々の風景に客を楽しませ、特に秋の候には紅葉狩りと茸狩りによく、香り高い松茸は名物料理の一つである。

家族連れによく、ハイキングによく、宿泊も随意でバス、栃尾鉄道(悠久山駅迄)の便がある。

成願寺溫泉献立定價表

成願寺溫泉献立定價表じょうかんじおんせんこんだてていかひょうには通人が賞讃した名物鯉料理など、さまざまな献立があります。

成願寺溫泉献立定價表

出典:成願寺溫泉献立定價表(長岡市歴史文書館所蔵)

成願寺遊園地のレジャー施設

成願寺温泉の敷地内に造成された遊園地は、山の斜面を利用した滑り台、トロッコ、ブランコ、池にはボートを浮かべ、子供たちの夢の遊び場だった。

引用:『新潟県の100年 – ふるさとの百年総集編』(新潟日報事業社出版部)

遊園地の設備

遊園地の設備 解説
活動人形 水車動力応用して色々の人形が活動して居ます。
子供飛行塔 子供さんの一番のたのしみ。
大人用 飛行塔 新設運転致します。
スペリ合 山を利用した大小数條のスペリ台。
プランコ色々 プランコ、掛ブランコ、動物プランコ、大衆プランコ等数十あります。
板昇り 五十尺位の坂を縄につかまつて昇る。
舟遊び 養魚を兼ねた池に舟が浮べてあります。
お庭のトンネル 夏は相当涼しい。
二宮尊徳の像 児童の精神向上を促すもの。
小動物類 孔雀、珍鳥、我、兎、モルモット等
錦鯉の飼育 二十村の特産が此処で年中見られます。
電飾の夜景 山の中で特別の眺めであります。
ビンポン室 ◎ ほら穴を利用したもの。
木馬館 ◎ 自動式廻転の木馬。
オルガン ◎ マージャン、囲来、将桃、若音器等。

◎雨天でも遊べるもの

成願寺温泉パンフレット

出典:成願寺温泉パンフレット(長岡市歴史文書館所蔵)

成願寺の滝

成願寺温泉の遊園地の中にあり、森立公園峠沿いに流れていた。
川水が高さ7mほど落下して、夏は涼を求める人たちでにぎわった(昭和初期)

成願寺の滝

出典:『新潟県の100年 – ふるさとの百年総集編』

成願寺の水遊び

成願寺地内の山林に囲まれた百間堤。江戸時代に小曽根町の農民がかんがい用水に造ったといわれている。

出典:『新潟県の100年 – ふるさとの百年総集編』

成願寺遊園地の魚すくい

成願寺温泉内の遊水地にある池で、雑魚すくいをする子供たち。

のちに水深が深くなり、養鯉に利用されている。

成願寺遊園地の魚すくい

出典:『新潟県の100年 – ふるさとの百年総集編』

 

1960年代のカラー写真にはメリーゴーランド・スベリ台・舟遊び・滑り台の上には薬師堂が写っています。

成願寺遊園地のレジャー施設

出典:『長岡 – 市勢要覧』

\これからも長岡花火の感動を!/

楽天市場|長岡市公式ショップ丸ごとながおか

成願寺鑛泉(古志郡栖吉村成願寺)について

新潟県衛生課が新潟県の温泉をこくごとく紹介している「新潟県温泉誌」から成願寺鉱泉(古志郡栖吉村成願寺)の解説を紹介します。

(出典:新潟県衛生課 編『新潟県温泉誌』,新潟県衛生課,昭和8)

成願寺溫泉の泉質

無色透明にして微に硫化水素の臭氣あり、中性の反應を呈す、比重は一、〇〇一六(15度)である。
一リットル中の固形物總量は〇、四八八グラムで完全な分析はしてゐないが含有する成分は大体次の通りである。

カルチウム、マグネシウム、鐵(微)、クロール、硫酸、燐酸、硫化水素。

成願寺溫泉の名物と土產物

ぜんまいとわらびの粕漬け

養壽館の宿泊延人数と経費

養壽館(內湯)一軒で客室總延坪數は七八坪である。

娯樂機關として、ピンポン、ブランコ、滑臺、ラヂオ等を設備してゐる。

飲料水には井水を使用する、水質は良好である。

浴客は四、八、九、十の四箇月に最も多い。

宿泊延人数

年度別 宿泊延人数
昭和四年 5,000人
昭和五年 4,000人
昭和六年 4,000人
日帰り推定延人数 8,400人(1ヶ年)

經費

宿泊料(一泊)
  • 一等 一圓五十錢
  • 二等 一圓二十錢
  • 三等 八五十錢
自炊(一日) 四十五錢(食器類一切を貸与す)
茶代 廃止
湯錢
  • 一日二十錢
  • 半日十錢
  • 一回三錢
  • 小人は半額

成願寺小唄

水の光り藻瀬もせに鳴く河鹿かじか
更けて湯にきくほととぎす
瀧のとどろき川瀬かわせのしぶき
暑さしらない山のお湯

引用:新潟県衛生課 編『新潟県温泉誌』,新潟県衛生課,昭和8

澄んだ川の浅瀬に藻が揺れ、カジカガエルが鳴いている
夜が更けるころ、温泉に浸かりホトトギスの鳴き声を聞く
滝の轟く音が響き、川の浅瀬では水しぶきが飛び散る
夏の暑さを忘れる涼しい山の温泉

成願寺小唄 養寿館チラシ

出典:養寿館チラシ 長岡歴史文書館所蔵

成願寺温泉養寿館の閉館と現在

閉館した成願寺温泉養寿館

越後長岡の奥座敷と言われた成願寺温泉養寿館は、つつじの名所、紅葉の名所として知られ、又、遊園施設もある当館所有の一万坪の屋敷内を成願寺川の清流が流れて、雪解けと共に水芭蕉が咲き、蛍の時期には美しい源氏蛍の群れ飛ぶさまが、客室より眺められる自然の風趣豊かな一軒宿でした。

昭和44年に建設された4階建ビルの成願寺温泉養寿館は、2004年10月に発生した中越地震で養寿館が大きな被害を受けました。

養寿館の損傷が激しく、また、土砂崩れ等地盤の問題もあって惜しまれつつ廃業しました。

成願寺温泉養寿館のホームページには閉館の挨拶がありました。

出典:成願寺温泉養寿館ホームページ(閉鎖)

 

成願寺温泉は養寿館1件だけだったので成願寺温泉は廃湯となりましたが、現在も温泉は湧き出ているようです。

新潟県長岡市常願寺温泉 撮影者 ~~~, 2005-10-05 GFDL '''ja:''' 新潟県長岡市の成願寺温泉。 新潟県中越地震により廃業。 廃業後撮影

出典:成願寺温泉 Wiki (著作 Aney) CC BY-SA 3.0

現在の成願寺温泉

現在の成願寺温泉は、長岡三古老人福祉会が所有・管理する成願寺ガーデニングパークとなっています。

現在でも温泉は湧き出ていて、温泉利用状況報告書(令和4年)によると噴出量は自噴30リットル/分の単純硫黄冷鉱泉です。

今でも豊かな自然環境はそのままに四季折々の風情が楽しめて、成願寺温泉は、越後長岡百景にも選ばれています。

成願寺温泉の遺構

成願寺温泉養寿館の建物は全て解体されていますが、グーグルマップで成願寺温泉の遺構の一部を確認できます。車道からはメリーゴーランドの遺跡を見ることもできそうです。

成願寺温泉のメリーゴーランド(北魚沼の昭和)

写真出典:北魚沼の昭和(ココログ)

ストリートビューでは当時を思わせる新潟縣景勝地成願寺遊園地の石碑を見れます。

 

長岡花火と成願寺温泉

長岡花火と成願寺温泉は昭和時代に関係が深く、長岡花火の煙火目録コレクションによると、成願寺温泉は昭和初期(昭和9年)から昭和後期(昭和56年)まで協賛スポンサーで花火を打ち上げていました。

長岡花火 昭和9年の煙火目録

九月十五日晝の部で「長岡郊外 唯一の行樂鄕」として尺玉を打ち上げています。

成願寺遊園地は、成願寺の温泉敷地内に造成された遊園地で滑り台、トロッコ、ブランコ、池にはボートを浮かべなどの大型遊具が揃った子供たちの夢の遊び場でした。

長岡花火 1970(昭和45年)の煙火目録

昭和45年の長岡花火では8月2日に成願寺温泉の新楽落成を祝った水上スターマインを打ちあげました。

長岡花火 1973(昭和48年)の煙火目録

収集できた煙火目録によると、成願寺温泉は昭和初期から長岡花火を協賛していて、戦後も1986(昭和56)年までスターマインの協賛をしてくれたことがわかります。

 

成願寺温泉のよくある質問と回答

長岡市の成願寺温泉の歴史は?

成願寺温泉は長岡市成願寺に明治4年(1871年)に長岡藩主・牧野家に仕えていた武士の家系である高野家6代目高野斧左エ門によって開業されました。 2004年の中越地震で被災し、閉業しました。

成願寺温泉養寿館(1871年開業〜2004年閉業)

現在の成願寺温泉は?

2008年に建物は取り壊されて、2022年より長岡三古老人福祉会が所有・管理する成願寺ガーデニングパークになっています。現在でも温泉は湧き出ています。

長岡花火と成願寺温泉の関係は?

成願寺温泉は昭和初期から後期にかけて水中スターマインなど長岡花火の協賛をしていました。

 

出典:成願寺温泉養寿館の歴史

成願寺温泉養寿館の歴史は、長岡市立図書館、長岡市歴史文書館の所蔵資料や国立国会図書館デジタルコレクション(公式)で閲覧できる書籍を参考にしています。

成願寺温泉養寿館の歴史文献を所蔵する外部サイト

【復刻】成願寺温泉養寿館|長岡デジタルアーカイブ

長い間、長岡市民の憩いの場として親しまれた成願寺温泉養寿館(1871年開業〜2004年閉業)

成願寺温泉養寿館は2024年の中越地震で建物が被害を受け、土砂崩れの恐れもあることで廃業になり、公式ホームページも2006年に削除されました。

四季折々の自然が楽しめて、紅葉の名所だった成願寺温泉。

館内のご案内、昭和初期からの名物 鯉料理などを案内していた成願寺温泉養寿館ホームページの情報をデジタルアーカイブ

成願寺温泉養寿館で案内していた懐かしい情報をできる限りサルベージして保存しました。

保存した情報は長岡デジタルアーカイブでご覧ください。

【復刻】成願寺温泉養寿館の長岡デジタルアーカイブ|長岡一の観光遊園地
成願寺温泉養寿館のデジタルアーカイブ長い間、長岡市民の憩いの場として親しまれた成願寺温泉養寿館ようじゅかん(1871年開業〜2004年閉業)成願寺温泉養寿館は2004年の中越地震で養寿館が被害を受けて廃業となり、公式ホームページも2006年...
運営者の情報
長岡花火ドットコム

長岡花火ドットコムは長岡花火の専門情報サイト。情報収集のプロとして長岡花火145 年の歴史から最新情報まで信頼性の高い情報を提供。観覧チケット、宿泊、名産品、観光スポットなど長岡花火だけじゃない「花火の街、長岡」の魅力を全方位でご案内する長岡花火の取説です。|ローカルガイドLV7

長岡花火ドットコムをフォローする
\取説を拡散シェア/
タイトルとURLをコピーしました